ネット上のコミュニティやSNS(X、Yahoo!知恵袋、各種掲示板)を定点観測すると、初老という言葉にまつわるトラブルや戸惑いの声が数多く見受けられます。
「会社の先輩が40歳になった際、古典の知識をひけらかすつもりで『初老の仲間入りですね』とメッセージを送ったら、関係が険悪になった」「小説を読んでいて『初老の紳士』という記述があったので白髪の60代男性を思い浮かべていたら、作中で42歳と明かされて脳内イメージが崩壊した」といった投稿は典型例です。
文学作品や時代劇、昭和初期までの新聞記事に触れた際、読者が受ける違和感の正体もここにあります。古典名作に登場する「初老の男」は、現代でいえば働き盛りの40代前半を指しているケースが多々あります。言葉の原義を知らないまま現代の感覚(60代)で読み進めると、登場人物の行動力や恋愛模様に対して不自然なギャップを感じてしまう原因になります。
言葉の正しい意味を知っていることと、それを現代の人間関係でどう運用するかは全く別の問題です。知性がある人ほど「言葉の歴史」を理解しつつも、相手の感情に配慮した柔軟な言葉選びを実践しています。