函館競馬場の芝2000mは、中央競馬の全コースを見渡しても極めて異質な舞台である。野芝主体の本州とは異なり、寒冷地仕様の洋芝100パーセントで構成された芝生は、強烈な粘りと重さを併せ持つ。開催が進むにつれて掘り返され、馬場は一気にタフさを増す。単なるスピード自慢や瞬発力型のサラブレッドは、直線入り口で早々に脚を奪われて沈んでいく運命にある。
加えて、小回りかつ起伏に富んだコースレイアウトが騎手たちの判断を惑わせる。4コーナーからゴールまでの直線はわずか262メートル。平坦に見えてバックストレッチには標高差3.5メートルの上り下りが存在し、息を入れるタイミングを誤れば致命傷になりかねない。GIIIという格付けでありながら、GIIやGI以上のスタミナとパワー、そして何よりも洋芝適性が要求される過酷な戦場なのだ。