クラタスが単なる張り子の虎に終わらなかった最大の勝因は、その頭脳にあった。ロボット研究者である吉崎航氏が開発したロボット制御ソフト「V-Sido(ブシドー)」の存在だ。複雑な多関節の重量物を、コックピット内のマスタースレーブ装置やスマートフォンから流暢かつリアルタイムに操縦できる革新的なアルゴリズムが組み込まれていた。
倉田氏の手による無骨で美しい鉄の装甲と、吉崎氏が生み出した先進的なソフトウェア。この異色の才能のタッグがあったからこそ、重さ約4.5トンもの鉄塊が、搭乗者の意志に応じて滑らかに腕を突き出し、車輪駆動で街を駆け抜けることが可能になったのである。