メイン球場である長崎県営野球場(ビッグNスタジアム)のグラウンドに立つ選手たちからは、テレビ中継の画面越しでは伝わらない生々しいプレッシャーと覚悟が伝わってきます。春から夏にかけての長崎特有の湿気と海風は、投手のスタミナ配分やフライ性の打球判断に微妙な狂いを生じさせます。
強豪校のベンチ裏を取材すると、選手たちが口を揃えるのは「1球の重み」です。強豪校の主将が語った言葉が印象に残ります。「相手が海星であれ創成館であれ、一瞬の気の緩みや消極的なポジショニングが命取りになる。日頃の練習から1点差の攻防を何千回とシミュレーションしてきた」。
スタンドを埋め尽くす地元ファンやOB、在校生の大声援は大きな後押しとなる一方で、時に若き球児の肩に重圧としてのしかかります。緊迫したイニング終盤、マウンドに集まる内野陣が交わす視線や、タイムを取った監督の短い一言。そうしたグラウンドレベルの人間模様こそが、高校野球の持つドラマ性を極限まで高めています。