映画『今日から俺は!!劇場版』が叩き出した興行収入53.7億円・動員420万人突破という数字は、2020年という映画興行界が未曾有の苦境に立たされた時期において、まさに奇跡的な大記録でした。なぜこれほどまでに多くの観客が劇場へ足を運んだのか、その根底には緻密に設計されたストーリー構成があります。
物語の舞台は1980年代の千葉。金髪パーマの「卑怯者だが仲間思い」な三橋貴志(賀来賢人)と、ツンツン頭で「正義感の塊」な伊藤真司(伊藤健太郎)の軟葉高校(軟高)コンビは、平穏な日常を過ごしていました。しかし、隣町の極悪ヤンキー高校である北根壊(ほくねい)高校が火災により校舎を失い、智司(鈴木伸之)や相良(磯村勇斗)が君臨していた開久(あけひさ)高校の校舎を間借りしたことから事態は急変します。
北根壊の頭である柳鋭次(柳楽優弥)と大嶽重弘(栄信)は、生徒たちに高額な「お守り」を売りつける阿漕なシノギを開始し、逆らう者を容赦なく叩き潰していきます。かつての宿敵・開久の生徒たちや、三橋の相棒である伊藤、赤坂理子(清野菜名)、早川京子(橋本環奈)まで巻き込んだ抗争へ発展し、三橋と伊藤は北根壊の凶悪な暴力に立ち向かうことになります。
本作がヒットした勝因は、ドラマ版で確立された「福田節全開のコメディ」と、少年漫画の王道である「熱いタイマンと仲間を守るカタルシス」の黄金比にあります。特にクライマックスにおける体育館での大乱闘シーンは、映画ならではの重厚なアクション設計が施され、単なるテレビドラマの延長にとどまらない圧倒的な熱量を放ちました。