美女研究や美容情報をめぐっては、科学的事実が極端に誇張された都市伝説や誤解が蔓延しています。その最たるものが「完全な左右対称(シンメトリー)こそが究極の美人である」という俗説です。
多くの心理実験において、人間の顔の右半分を反転させて結合した「完全対称顔」と、元の自然な顔を比較提示した場合、被験者の多くは完全対称顔に対して「不気味」「マネキンのようで感情が読めない」というネガティブな評価(いわゆる不気味の谷現象)を下します。生きた人間の魅力には、わずか数パーセントの左右差や、表情が動いた際に生じる「微細な揺らぎ」が不可欠です。完全な幾何学的均一性は、生物としての生命感を削ぎ落としてしまう弊害を孕んでいます。
また、「美人はあらゆる面で人生の恩恵を享受できる」という単純なハロー効果信仰にも落とし穴があります。社会心理学の研究では「美貌のペナルティ(Beauty Penalty)」の存在が証明されています。例えば、高い知性やリーダーシップが求められる専門職への応募において、過度に魅力的な外見を持つ女性は「容姿だけで採用された」「中身が伴っていないのではないか」という根拠のない偏見を持たれやすく、同性からの無意識な警戒心や排斥感情を買いやすいという統計データも存在します。外見的魅力は強力な初頭効果を発揮する反面、実像以上の期待値を背負わされ、一度のミスで評価が急落するハイリスクな側面を内包しているのです。