制度廃止によって身分を失った旧華族を直撃したのが、終戦直後に導入された過酷な税制改革でした。1946年に実施された財産税は、最高税率が90%に達するという過酷を極めたもので、預金封鎖や新円切り替え、さらに農地改革による小作地の強制買収が追い討ちをかけました。かつて広大な敷地を誇った大名屋敷や別邸、美術品の多くが、納税のために物納または民間に売却されたのです。
当時の混乱を物語る手記には、「お茶の淹れ方や電車の乗り方すら分からず、使用人が去った広大な屋敷で途方に暮れた」「食料を手に入れるため、先祖伝来の掛け軸や着物を農家に持ち込んで芋と交換した」といった生々しい記録が数多く残されています。大半の旧華族にとって、戦後はまさに「一夜にして生活基盤を奪われた没落の時代」でした。
しかし、2026年現在の視点で俯瞰すると、その後の命運は大きく二極化しています。所有していた広大な都心の一等地を不動産管理会社として法人化し、オフィスビル経営などに乗り出すことで資産の保全に成功した家もあれば、相続税の負担に耐え切れず完全に資産を分散させた家もあります。現在の旧華族における資産規模は、均一なものでは決してありません。