TNC放送会館を語る上で欠かせないのが、テレビ西日本(TNC)の本社移転の経緯と、百道浜という土地が持つ都市計画上の文脈です。
テレビ西日本はもともと1958年に北九州市八幡東区で開局し、その後1974年に福岡市南区高宮へと本社を移転しました。そして1996年、現在の早良区百道浜の地に最新鋭の機能を備えた社屋として「TNC放送会館」を新築移転しました。この移転は単なる一企業の社屋建て替えではなく、1989年の「アジア太平洋博覧会(よかトピア)」跡地を中心に進められた福岡市の先進的ウォーターフロント開発事業「シーサイドももち」の中核プロジェクトでした。
ネット上の一部では「テレビ局の中には関係者以外入れない」といった誤解が見受けられますが、都市計画の当初から「地域と市民に開かれたメディア拠点」として構想されたため、低層部に広大なパヴェリアが設計されたという歴史的背景があります。情報通信・メディア発信の最前線でありながら、市民が日常的に行き交うオープンスペースを両立させた近代建築のモデルケースと言えます。