経歴詐称はどんな罪になる?逮捕・懲戒解雇の境界線と法的責任

経歴詐称はどんな罪になる?逮捕・懲戒解雇の境界線と法的責任

経歴詐称はどんな罪になる?逮捕・懲戒解雇の境界線と法的責任についての最新情報をご紹介します。

法律上、「経歴詐称罪」という独立した刑罰規定は存在しません。しかし、虚偽の内容や行使した手段によっては、刑法や特別法に抵触し、刑事事件として立件・逮捕される危険を伴います。どのような行為が刑罰の対象となるのか、境界線を押さえる必要があります。

1. 詐欺罪(刑法246条)が成立するケース

人を欺いて財物を交付させたり、財産上不法の利益を得たりした場合に成立するのが詐欺罪(10年以下の懲役)です。採用現場において、単に学歴や職歴を偽っただけで直ちに詐欺罪が適用されるケースは多くありません。労働者が労務を提供し、その対価として給与を受け取っている実態があるためです。

詐欺罪が極めて成立しやすいのは、特定の国家資格や免許が業務の絶対的条件となっている職種において、資格を偽装して報酬を得ていたケースです。たとえば、医師免許や弁護士資格、看護師資格を持たない者が偽造資格を用いて採用され、報酬を得ていた事例では、業務そのものが違法であるため「欺罔行為によって給与・報酬を詐取した」と認定され、逮捕ニュースとして大きく報道されることになります。

2. 有印私文書偽造・同行使罪(刑法159条・161条)の適用

「履歴書に嘘を書く行為」そのものは、自分が作成名義人である私文書に虚偽の内容を記載する「無形偽造」にあたるため、原則として私文書偽造罪には該当しません。日本の刑法では、公務員が作成する公文書と異なり、一般私文書の虚偽記載(自著履歴書の嘘)は処罰の対象外とされているためです。

注意すべきは、卒業証明書、資格証明書、前職の退職証明書などを他人の名義で偽造・改ざんして提出した場合です。これらは「有印私文書偽造罪(3か月以上5年以下の懲役)」および「偽造私文書行使罪」に問われ、言い逃れのできない重大犯罪として刑事責任を追及されます。

3. 軽犯罪法違反と公職選挙法違反

法令で定められた称号や公的資格を偽って名乗る行為は、軽犯罪法第1条15号(称号詐称等の罪)に抵触し、拘留または科料の対象となります。公的な学位(学士、修士、博士など)や、法令で定められた肩書きを虚偽申告した場合がこれにあたります。

さらに、選挙に立候補した政治家が当選を得る目的で身分・学歴・経歴を偽った場合には、公職選挙法第235条(虚偽事項公表罪)が適用され、2年以下の禁錮または30万円以下の罰金に処せられ、当選無効や公民権停止という極めて重い処分が科されます。

石川 優花
著者

石川 優花

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。