よく混同されるのが、意図せず場違いな言動を繰り出す「天然ボケ」のキャラクターだ。しかし、行動の動機という点において両者には明確な隔たりが存在する。前者が状況の認識不足や注意の逸脱から生じるのに対し、ふわふわとした佇まいを見せる人々は、場の空気や人間関係のダイナミズムを察知した上で「あえて一歩引く」スタンスを選択していることが多い。
オーストリアの精神心理学者アルフレッド・アドラーが唱えた「課題の分離」を、ごく自然に実践している状態と言えば理解しやすいだろう。他者の期待や情緒的混乱に深入りしすぎず、かといって冷淡に排除もしない。かつての自己啓発ブームで強調された「強烈なアサーション(自己主張)」とは一線を画す、静かだが極めてタフな対人関係の智恵がそこに潜んでいる。