海藤瞬というキャラクターの魅力は、自らを「秘密結社ダークリユニオンと戦う漆黒の翼」と信じ込む重度の中二病でありながら、根は誰よりも純粋で臆病なヘタレ男子であるというギャップにある。この複雑怪奇なテンションを、実力派俳優として確固たる地位を築いていた吉沢亮が完璧に演じきった。
撮影現場で吉沢が徹底したのは、「ギャグとして演じるのではなく、本気で世界を救う戦士として生きる」というアプローチだった。右手の手首を激しくひねり、独特の間合いで決めポーズを繰り出す一連の所作は、原作のコマをミリ単位で研究した成果だ。カメラが回る直前まで一人で壁に向かってポーズのキレを確認していたというエピソードは、彼の役作りへのストイックさを物語っている。
真剣であればあるほど、周囲との温度差が笑いを生む。シリアスな美形が放つ狂気的な熱量こそが、実写版における海藤瞬を唯一無二の存在へと押し上げた原動力だった。