2006年のドイツワールドカップ。ピッチ中央で仰向けになり、ただ空を見つめていた姿を今も鮮明に覚えている人は多いだろう。29歳という早すぎる現役引退。世間が困惑と惜しむ声に包まれる中、本人は迷わず世界80カ国以上を巡るあてのない旅に出た。そこで突きつけられたのは、世界における日本のプレゼンスと、自国が誇る文化の美しさだった。
帰国後、自らの足で日本全国の酒蔵や手仕事の現場を歩いた距離は十数万キロに及ぶ。トップアスリートとして研ぎ澄ませた勝負勘と、冷徹なまでにロジカルな思考。それらが融合した結果、彼は単なるタレント文化人ではなく、世界と対峙する実業家としての歩みを本格化させたのだった。