自主制作からスタートした『宗右衛門町ブルース』だが、その驚異的な反響に着目したのが大手レコード会社の日本コロムビアだった。全国流通のラインに乗ると、レコード店には予約が殺到。発売からわずか数ヶ月でミリオンセラーを達成し、最終的には200万枚を突破する怪物級のヒット作となった。
レコード会社の緻密な流通戦略と、現場の熱量が見事に噛み合った好例である。日本の音楽産業における「ご当地ソング」の成功モデルを打ち立てた一曲としても知られ、レコード盤のプレス工場が連日フル稼働を続けたという逸話は今も語り継がれている。レコードの溝に刻まれた哀切な音色は、高度経済成長期の陰で生きる人々の孤独をそっと包み込んだ。