2020年代以降、映像メディアにおける当事者の描き方はバラエティ的な「イジり」から、より重厚な人間ドラマへと大きくシフトした。映画『ミッドナイトスワン』は、夜の街で生きる当事者の孤独と愛、そして厳しい現実を描き出し、日本アカデミー賞をはじめとする数々の賞を獲得。ステレオタイプな描写を超えた生の葛藤が、多くの観客の心を強く揺さぶった。
さらに、Netflixなどのグローバルな動画配信サービスの台頭も大きな変化をもたらしている。海外の先端的なジェンダー観を取り入れたコンテンツが手軽に視聴できるようになり、過度なデフォルメを排したドキュメンタリーやドラマが増加した。エンタメにおける消費される「記号」から、一人の人間としての「生」を描く表現への移行が着実に進んでいる。