驚くべき正確さで残された国家統計がある。当時の成人男子の体格を冷徹に測定し続けた公的データ、それが徴兵検査の身体測定記録だ。この記録によれば、大正期(1912〜1926年)における20歳男子の平均身長はおよそ160.5cmから161.5cm前後にすぎない。現代の成人男性の平均(約171.5cm)と比べると、実に約10cmから11cmも低かったことになる。
女性の体格差はさらに顕著だ。当時の20歳前後の女性の平均身長は約148cmから150cm程度。現代の成人女性(約158cm)と比較すれば、頭一つ分すっぽりと隠れてしまうほどのサイズ差が存在していた。街頭で現代人と大正人がすれ違えば、まるで大人と子供のような視覚的コントラストが生まれたはずだ。
明治から大正、そして昭和へと続く推移を鳥瞰すると、この変化のダイナミズムはより鮮明になる。明治初期の男子平均身長は約157cm前後にとどまっていた。大正期にかけて数センチの伸びを見せたものの、それは極めて緩慢な歩みだった。終戦後の高度経済成長期に巻き起こる「身長の爆発的伸長」と比較すれば、大正期の体格は依然として前近代の制約に縛られていたと言わざるを得ない。