気胸の発症背景には、解剖学的な特徴とホルモンバランスの乱れという2つの大きなメカニズムが存在します。発症者のタイプごとに原因を紐解くことで、リスクの所在が明確になります。
10代後半から30代前半の男性に好発する原発性自然気胸において、痩せ型長身男性のブラ破裂原因は肺尖部(肺の最上部)にかかる物理的ストレスにあります。成長期に急激に身長が伸びる際、胸郭の縦方向の拡大に対して肺の血管や組織の成長が追いつかず、肺の先端部に血液循環の乏しい脆弱な空気の袋(ブラやブレブと呼ばれる嚢胞)が形成されます。このブラが、気圧の変動や激しい呼吸運動、あるいは何気ない日常の動作をきっかけに風船のように破裂し、肺の空気が胸腔内へ漏れ出します。
一方、近年臨床現場で注目されているのが、20代後半から40代の女性に起きる女性の月経随伴性気胸です。これは本来子宮の内側に存在するはずの子宮内膜組織が、何らかの経路で横隔膜や肺の表面に生着・増殖する「胸部子宮内膜症」が引き起こします。月経周期に合わせて肺に生着した内膜組織が出血・脱落し、横隔膜や肺組織に微細な孔を開けてしまうことで気胸が発症します。生理の開始前後に決まって右側の胸痛や息苦しさを繰り返す場合、月経随伴性気胸の可能性が極めて高く、婦人科と呼吸器外科の連携による根本治療が不可欠です。