おおたわ史絵氏が手掛け、小学館から出版された手記『母』は、発売直後から大きな反響を呼んだ。ノンフィクション・自伝というジャンルにおいて、これほどまでに肉親の病理と自身の傷を率直にさらけ出した作品は稀有である。
出版業界では、単なる著名人の手記の枠を超えた真摯なドキュメンタリーとして高く評価された。同時に医療業界においても、医師自身が家族の依存症というタブーに近いテーマに切り込んだ作品として多大な衝撃を与えた。処方薬の依存という現代医療の死角や、医療者の家族が抱えがちな孤立感に光を当てた意義は極めて大きい。