世界的な映画賞を総なめにしてきた監督の是枝裕和と、カンヌ国際映画祭での受賞も記憶に新しい主演の役所広司。この二人の再タッグは、企画発表の段階から映画関係者の間で大きな話題を呼んでいた。今作でふたりが挑むのは、これまでの心温まるファミリードラマのイメージを大きく覆す凄惨かつ哀愁に満ちたキャラクター像である。
役所が演じるのは、街の歴史と共に生きてきた孤独な仕立屋の男。ある事件をきっかけに、彼は自らの過去と街の暗部に引きずり込まれていく。是枝監督は彼に対して一切の誇張を排した自然体の芝居を求めたとされ、現場では数十テイクに及ぶミリ単位の演出調整が繰り返された。画面に映し出される一挙手一投足に、観客は息を呑むことになるだろう。