前川清がリードボーカルを務めた「内山田洋とクール・ファイブ」は、洗練されたコーラスワークと歌謡曲の融合で一世を風靡した。コーラス隊を背に静かに歌う前川の佇まいは、ポップス感覚を併せ持つ新しい演歌のスタイルを切り拓いた。
一方で藤圭子が所属したRCAレコードは、彼女の情念に満ちた歌声を前面に押し出し、幾重もの連続首位獲得という前代未聞の快挙を打ち立てた。しかし、商業的成功の階段を駆け上がるほどに、19歳前後の若者であった二人が背負う重圧は巨大化していった。音楽業界の熱い期待と過剰な視線の中で、若き天才たちは逃げ場のない孤独と闘い続けていたのだ。