夏タイヤと冬タイヤを分ける最大の核心は、配合されるコンパウンド(ゴム化合物)の柔軟性と、路面との接地状態を左右するトレッドデザインの差にある。
標準的な夏タイヤは気温が7度を下回ると急速に硬化し、路面を掴むグリップ力を失う。これに対してスタッドレスタイヤは、マイナス数十度の極寒でもしなやかさを保つ特殊なシリカ配合ゴムを採用している。国内最大手である株式会社ブリヂストンの基幹ブランド「BLIZZAK(ブリザック)」に代表される発泡ゴム技術は、氷とタイヤの間に生じる微小な「水膜」を効果的に取り除き、強力な接地面積を確保する仕組みだ。
ヨーロッパのETRTO規格など世界的な標準規格に基づく設計においても、細かな溝(サイプ)を全面に配置してエッジ効果を高めた冬用パターンと、高速安定性や排水性を優先した夏用パターンとでは、求められる機能が根本から異なっている。