「会社を辞める潮時が来た」「そろそろ潮時だろう」。職場やニュースのワンシーンで誰もが一度は耳にしたことがあるフレーズだ。多くの人がこの言葉を「限界」「諦め」「引退」の同義語として使っている。だが、その常識は言語学的に見れば大きな誤解に基づいている。
文化庁が発表した「国語に関する世論調査」のデータは、この実態を如実に物語っている。調査結果によると、「潮時」という言葉を「ちょうどいい時期」という本来の意味で捉えている人の割合は急速に減少しており、実に全体の約8割近くが「商売や事業をやめる時期」「退職や撤退の機会」という誤用・変化した意味で認識していることが判明した。
特に若い世代ほど「ネガティブな引き際」として捉える傾向が強く、ビジネス現場でも誤解を生む原因となっている。「新しいプロジェクトを仕掛ける潮時だ」と上司が発言した際、部下が「撤退の示唆」だと受け取ってしまうといったコミュニケーションの齟齬が日常茶飯事のように起きているのだ。