物語の推進力となったのは、タコピーが所有する無数の「ハッピー道具」と、それに伴うタイムループの因果関係だ。「仲直りリボン」や「思い出カメラ」といったファンタジックなアイテムは、過酷な現実の前で容易に殺傷兵器や犯罪の隠蔽工作ツールへと成り果てた。
しずかの愛犬・チャッピーの死、首吊り自殺、そして雲母坂まりな殺害事件。タコピーは不都合な事態が起きるたびに「ハッピーカメラ」のフラッシュを焚き、時間を過去へと巻き戻した。しかし、因果関係を無視した安易なリセットは、登場人物たちの歪んだ感情をより一層増幅させ、より悲惨な結末へと事態を悪化させていく。
タイムループは救いではなく、愚かな善意がもたらす地獄の螺旋だった。タコピー自身が「自分が良かれと思ってやった行動がすべてを壊していた」と自覚する場面は、本作における最も痛烈な転換点と言える。