東福生駅の真価は、駅西口を出て徒歩数分、国道16号へと足を踏み入れた瞬間に現れます。目の前に広がるのは、通称「福生ベースサイドストリート」と呼ばれる、日本屈指の異国情緒を漂わせる商店街エリアです。
かつて第二次世界大戦後からベトナム戦争期にかけて、横田基地に駐留する米軍兵士とその家族のために建てられた平屋建て住宅、通称「アメリカンハウス(米軍ハウス)」。村上龍の芥川賞受賞作『限りなく透明に近いブルー』や、多くのミュージシャン・アーティストの手記やインタビューで描かれた当時の空気感は、現在もこの地に色濃く残されています。
現在、これらの歴史的ストックは感度の高いクリエイターやショップオーナーによって再生され、ヴィンテージ古着店、本格的なハンバーガーやピザを提供するダイナー、こだわりの自家焙煎コーヒーを出すリノベーションカフェへと生まれ変わっています。看板のタイポグラフィ、ヤシの木、ペンキ塗りのフェンスが連なる風景は、まるでアメリカ西海岸のルート66沿いを切り取ったかのようです。
この独特な景観は映像業界からも極めて高く評価されており、映画、テレビドラマ、ファッション誌、アーティストのミュージックビデオ(MV)の「撮影ロケ地」として頻繁に起用されています。東福生駅周辺に漂う「東京の喧騒から隔絶されたどこかノスタルジックな乾いた空気」は、他の一過性の商業地にはない唯一無二の情緒を生み出しています。