モデル界の頂点を極めた阿部は、1987年に映画『はいからさんが通る』の伊集院忍少尉役で本格的な銀幕デビューを果たす。南野陽子の相手役として白馬に乗る姿は完璧な貴公子像であり、興行的にも大きな注目を集めた。だが、この華々しいスタートが、皮肉にも長い苦闘の幕開けとなる。
当時の日本映画界やテレビドラマ界において、189センチという高身長は大きな障壁となった。画面内で共演女優や他の俳優とのバランスが取りづらく、立ち位置を制限されるなど、「背が高すぎて使いにくい二枚目」という不条理なレッテルを貼られてしまったのだ。二枚目のイメージに縛られ、次第に仕事は激減。パチンコで生計を立て、投資マンションの負債に苦しむという、壮絶な下積みの日々へと転落していった。