WEB上やSNSでは、スマートフォンの冷却に関する多様な裏ワザが語られていますが、工学的な裏付けを欠いた危険な俗説も数多く混在しています。
代表的な誤解が「アルミホイルや10円玉を背面に積み重ねれば劇的に冷える」という説です。確かにアルミニウムや銅は熱伝導率が非常に高いため、接触面から一時的に熱を吸い上げる効果はあります。しかし、スマートフォンの背面パネル(特にガラス素材)と金属硬貨の間には微小な隙間が生じるため、十分な接触面積を確保できず、期待されるほどの放熱効果は得られません。それどころか、硬貨の角で筐体に擦り傷をつけたり、カメラユニットを傷つけたりする物理的リスクの方が勝ります。
もうひとつの盲点は、市販されている「ペルチェ素子式スマホクーラー」の運用法です。電流を流すことで片面が急速に冷え、反対面から熱を排熱するペルチェ素子冷却器は、正しく使えばゲーミング時の強力な武器になります。しかし、室温が高く湿度の高い環境でクーラーを最大出力稼働させたままゲームを急に終了すると、クーラーの冷却能力がスマホ内部の自己発熱を上回り、冷却面付近で局所的な結露を誘発する恐れがあります。冷却ファンを導入する場合は、外気温との差が極端になりすぎないよう制御された高品質な製品を選定し、結露防止シートを併用するなどの配慮が不可欠です。