森喜朗氏を語る上で避けて通れないのが、数多くの「失言」とそれに伴う世論の猛反発です。その発言録は、首相時代から組織委会長時代に至るまでメディアを騒がせ続けました。
2000年5月、神道政治連盟国会議員懇談会の会合で発した「日本は神の国」発言は、日本国憲法が定める政教分離や主権在民の原則に反するとして内閣支持率急落の決定打となりました。また、えひめ丸事故発生時にゴルフを継続していた問題など、危機管理意識の欠如と取られる対応が連日ワイドショーで批判されました。
そして2021年2月、東京五輪組織委員会会長の座を追われる契機となったのが、日本オリンピック委員会(JOC)の評議員会における「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」という発言でした。国内外から激しい批判を浴び、当初は辞任を否定したものの、国際オリンピック委員会(IOC)の声明発表や大会ボランティアの相次ぐ辞退という事態に直面し、会長辞任を表明せざるを得なくなりました。本人は「文脈全体を切り取られた」と釈明したものの、ジェンダー平等を掲げる現代社会の潮流との決定的なズレを露呈する結果となりました。