極上のおでんや煮物を作るためには、面取りに加えたもうひとつの重要工程があります。それが「米のとぎ汁を使った下茹で」です。
大根特有の苦味や辛味成分、アクを取り除くため、面取りと隠し包丁を施した大根を、米のとぎ汁(または生米を一掴み加えた水)で水から中火で茹でます。竹串がスッと中心まで通るくらい(約15〜20分)まで下茹ですることで、米に含まれるデンプン質が大根の細胞壁を保護し、煮崩れを防ぎながら透明感のある柔らかい仕上がりへと導きます。
下茹で後は軽く水洗いして米ぬかを落とし、本調理の出汁へと移します。
大根の煮物に味を染み込ませる最大の科学的ポイントは、「冷める過程を活用すること」にあります。食材は加熱によって細胞が膨張し、温度が下がるタイミングで煮汁をグッと内部に抱え込みます。そのため、出汁でじっくり煮込んだ後は一度火を止め、常温近くまで冷ましながら味を含ませるのが、最も効率的かつ深く味を染み込ませるプロの秘訣です。