不可視の塊であるダークマタークラスターを構成する素粒子は一体何なのか。ダークマターの正体に迫る最新研究では、従来の最有力候補から革新的な新仮説まで多角的な検証が続けられています。
長年本命視されてきたのは、超対称性理論が予言する「WIMP(弱相互作用質量粒子)」です。質量が重く通常の物質とほとんど相互作用しない性質は、銀河団スケールの重力構造を完璧に再現します。しかし、超高感度検出器による探索でも決定打となるシグナルが未だ得られていないことから、研究の裾野は急速に広がっています。
現在、WIMPと並んで有力視されているのが、極めて質量が軽い仮想粒子「アクシオン(Axion)」や、ビッグバン直後の超高密度状態から生まれた「原始ブラックホール(PBH)」です。さらに、ダークマタークラスター中心部の質量分布を説明するために提唱された「自己相互作用型暗黒物質(SIDM)」や、量子力学的波の性質を持つ「ファジーダークマター(FDM)」など、観測事実と素粒子物理学を架橋する新たな理論モデルの検証が白熱しています。