スポーツ社会学および組織論の観点からこの事象を分析すると、日本ボート協会の改称と現在の構造改革は、「閉鎖的な学問所的エリートスポーツからの脱皮」と「国際グローバルスタンダードへの適応」という二律背反の課題を解決するための必然的な通過儀礼であると位置づけられます。
明治時代、東大をはじめとする旧帝国大学やエリート学生の教養・精神修養として受容された漕艇文化は、極めて強固な同窓ネットワークと美学を形成しました。しかし、その強固さゆえに「外部からの参入障壁」が高まり、昭和・平成を通じてマイナースポーツの枠から抜け出せなかった歴史があります。公営競技との混同に長年甘んじてきたのも、閉じたコミュニティ内でアイデンティティが完結していたことの裏返しに他なりません。
この歴史的文脈を踏まえ、これからローイングという競技に関わろうとする方に向けて、客観的な判断基準を提示します。
【この競技への参加・支援をおすすめできる人】
- 極限のチームワークと一体感を体感したい人:エイトに代表されるローイング競技は、全員の動きが100分の1秒単位で同期した瞬間に「艇が水面を浮き上がって滑る」唯一無二の快感を味わえます。
- 全身を使った究極の有酸素運動を求める人:下半身の爆発力と背筋、心肺機能をバランスよく極限まで鍛え上げることができ、生涯スポーツとしての健康価値も極めて高いです。
【慎重な検討が求められる人】
- 個人のスタンドプレーや即効性のある成果を求める人:日々のハードな基礎トレーニング、早朝練習、そして水上での地道な反復作業が不可欠であり、個人の技術だけでなく他者への同調性が何よりも重視されます。
- 道具や環境へのアクセスが限られている環境の人:専用のボートコースや水域、艇庫が必要となるため、居住地域や所属団体のインフラ状況によっては活動の維持に多大なコストと移動時間を要します。