インターネット上の健康フォーラムやSNSでは時折、「らっきょうを毎日食べていれば狭心症や不整脈が治る」「心筋梗塞を完全に回避できる」といった過激な言説が散見される。しかし、医療報道に携わるジャーナリズムの視点から結論づければ、らっきょうは医薬品そのものではなく、心疾患を完治させる魔法の治療薬ではない。
心疾患(冠動脈疾患や不整脈、弁膜症)は、器質的な血管の狭窄や電気信号の乱れ、長年の脂質異常症が複雑に絡み合って発症する重篤な病態である。胸の締め付け感や息切れなどの自覚症状がある場合、直ちに循環器専門医を受診して心電図やカテーテル検査を受けることが最優先であり、自己判断で食品に頼ることは極めて危険な行為である。
らっきょうの真の価値は、「未病(病気に向かいつつある初期状態)」を防ぐ食習慣の防波堤としての機能にある。漢方において「薤白」が他の生薬と組み合わされて処方されるように、日々の食事の中で血小板凝集を抑え、血管内皮に負担をかけない体内環境を整える「継続的なリスク低減ファクター」として捉えるのが最も正確な真相である。