言葉の構造を分解すると、「ざっと」という副詞と「こんなもん(こんなもの)」という指示代名詞・名詞の組み合わせで成り立っています。国語辞典や語源研究の記述を紐解くと、それぞれの語が持つ本来の力点が浮かび上がってきます。
まず「ざっとの意味・由来」ですが、これは水が勢いよく一気に流れ落ちるオノマトペ(擬音語・擬態語)に由来するとされています。水がざっと流れるように「手早く全体を撫でる」「大まかに一通り目を通す」という動作のスピード感と粗さが転じ、「大雑把に」「一通り」「おおよそ」という意味の副詞として定着しました。
一方の「こんなもん」は「こんなもの」が口語的に変化した表現です。「これくらいの程度」「この程度のクオリティや分量」というニュアンスを指します。地域性として「こんなもん」は関西弁など西日本の方言としても頻繁に発話されますが、現在では全国的なくだけた会話表現として広く浸透しています。
ここで注目すべきは「ざっとこんなもの」と「ざっとこんなもん」のニュアンスの違いです。「もの」を「もん」と縮約することで、会話における心理的距離がぐっと縮まる反面、フォーマルさは完全に失われます。自分自身の作業成果を謙遜して「まあ、大体これくらいで十分だろう」と着地点を見出す自己納得のニュアンスや、相手に対して「大体の概要は掴めたかい?」と軽く同意を求める空気が自然と醸成されるのが特徴です。