日本における本格インド料理の聖地として知られるのが、東京都江戸川区に位置する西葛西だ。IT技術者をはじめとする多くのインド系住民が暮らすこのエリアは、「リトルインディア」の異名を持ち、本国の味を忠実に再現した名店がひしめき合っている。西葛西を中心に広がった本物志向の波は、今や日本全国の主要都市へと波及した。
現在、日本のインド料理シーンを楽しむ上で知っておきたいのが地域による明確な味の違いである。クリーミーでコクがあり、タンドール窯で焼いた大きなパンと共に味わう北インド料理は、リッチなバターや生クリーム、ナッツペーストを多用する贅沢な味わいが特徴だ。一方で、近年急速にファンを増やしている南インド料理は、米を主食とし、サラリとしたスープ状のカレーや、豆と野菜を煮込んだラッサムやサンバル、酸味と切れ味のあるスパイス使いが際立つ。この2大流派の個性を理解することで、近所での店選びはより一層深い体験へと進化する。