多くのファンが誤解しがちな最大のポイントは、ベースとなった車両の正体です。劇中では「1967年型シェルビーGT500」として語られますが、映画60セカンズ劇中車として実際に製作された12台のスタント・プロップ車両のベースは、希少な本物のシェルビーではなく、通常の「1967年型フォード・マスタング・ファストバック」でした。当時すでに歴史的価値が高騰していた本物のシェルビーをカーアクションで破壊することは、予算的にも倫理的にも不可能だったためです。
このデザインを手がけたのは、ホットロッド界の伝説的デザイナーであるチップ・フース(Chip Foose)と、ステーブ・スタンフォード(Steve Stanford)のコンビです。製作を担当したシネマ・ビークル・サービス(Cinema Vehicle Services)は、エレノア独自のグラマラスなワイドフェンダー、ダックテールスポイラー、アグレッシブなボンネットフードを専用ファイバーグラスで成型。カラーリングにはデュポン社特注の「ペッパーグレー(コード:44490)」にル・マン・ブラックストライプを配し、それまでのクラシック・マスタングの概念を覆すモダン・マッスルへと昇華させました。