かつて小中学生の間で「特定の出目パターンの後に太陽を押すと止まる」「BGMのリズムに合わせて3拍子でボタンを押す」といった攻略法が熱狂的に支持されました。これらは現在でいう「認知の歪み」が生み出した産物です。
SFC版のリール配列は固定されており、確かに「太陽」の次のコマには「水滴」や「月」などが決まった順序で配置されています。しかし、リールの回転スピードは毎秒数十コマという高速であり、肉眼で図柄の通過を完璧に捉えて1フレーム(約1/60秒)単位で狙い分けるのは人間の動体視力の限界を超えています。
さらに、ゲーム開発元のエニックス(現スクウェア・エニックス)が意図的に仕掛けたのが、プレイヤーが「惜しい!」と感じるニアミス演出の多さです。最初の2つのリールに「太陽」が揃った状態(リーチ演出)が頻繁に発生するように見せることで、プレイヤーは「自分の狙い方は合っている、あと少しのズレだった」と錯覚します。心理学でいう「部分強化」と「コントロールの錯覚」が重なり、偶然当たった数回の記憶だけが強烈に美化された結果、「目押しのコツ」という都市伝説が定着したのです。