万が一、愛猫が呼吸困難に陥った際、自宅で素人ができる処置は限られています。しかし、正しい移送と連絡を行うことで救命率は劇的に向上します。以下に記す猫の呼吸困難の緊急対処法を冷静に実行してください。
第一に、直ちに受診先となる病院へ電話を入れます。これが動物病院夜間救急の受診目安における最優先事項です。「事前に電話をせず直接駆け込む」ことは避けてください。病院詰めの医療スタッフに「呼吸困難の猫が向かっている」と伝えることで、到着と同時に酸素吸入ケージや強心薬、利尿薬、胸腔穿刺の器具をスタンバイさせることができます。
搬送時の注意点として、猫をキャリーケースに入れる際は暴れさせないよう細心の注意を払い、フタを開けたまま上からバスタオルをふわりと掛けるなどして通気性を確保します。車内ではエアコンを適切に効かせ、急ブレーキや急旋回を避けて静かに走行します。興奮によるアドレナリンの急上昇は、心不全を起こした心臓に最後の致命打を与えかねません。
【プロの結論】受診を迷った際のチェックリストと飼い主が保つべき姿勢
家族の一員である愛猫の健康を守るうえで、飼い主が陥りがちな心理的トラップが「正常性バイアス(大したことではないと思いたい心理)」です。医療のプロフェッショナルとして、以下の判断基準を提示します。
【即座に夜間救急へ走るべき条件】
- 口を開けてハァハァと息をしている(開口呼吸)
- 舌や歯茎が紫、または真っ白になっている(チアノーゼ・循環不全)
- お腹を極端にペコペコさせて息をしている(努力呼吸・腹式呼吸)
- 睡眠時の呼吸数が1分間に50回を超えている
- 後ろ足に力が入らず引きずっている、または激痛を訴えて鳴いている
【翌朝を待たず電話相談すべき条件】
- 睡眠時の呼吸数が持続して40回前後で推移している
- 咳をするような姿勢を何度も繰り返している
- 食欲や元気が急激に落ち、うずくまったまま動かない
「夜間に受診して、もし検査の結果何でもなかったら恥ずかしい・申し訳ない」と躊躇する必要は一切ありません。「空振り」であればそれに越したことはないのです。呼吸の異常における「見逃し」は、そのまま愛猫の死に直結するという覚悟を持って行動してください。