インターネット上の掲示板やライト層のコメントにおいて、時に「諏訪部順一は低音のイケメン役ばかり演じている」というステレオタイプな言説が見受けられます。しかし、これは彼のキャリアの半分しか捉えていない重大な誤認です。
事実、彼の真の凄みはコメディ作品や異形のアクの強いキャラクターで見せる卓越したリズム感と瞬発力にあります。その代表例が『スペース☆ダンディ』のダンディ役です。徹底的にナンセンスでおバカ、欲望に忠実ながらどこか憎めないロマンチストを、圧倒的なテンポとアドリブ感で軽快に演じ切りました。また、マスコットキャラクターやハイテンションな狂言回しを演じる際に見せる高音域の引き出しの多さは、現場の音響監督からも極めて高く評価されています。
ナレーションの世界では、真面目な報道ドキュメンタリーからバラエティ番組の過剰な煽りまでをミリ秒単位のタイミングでこなす熟練の職人です。つまり、「低音の二枚目」は数ある引き出しの最も目立つ一段に過ぎず、その土台には「言葉の速度、抑揚、間の取り方を数学的に把握したうえで、現場で自在に崩せる柔軟性」が張り巡らされています。