まらしぃのピアノ演奏における最大の特徴は、クラシックの伝統的奏法とは一線を画す、圧倒的なフィジカルとストライド奏法(ブギウギやラグタイムにルーツを持つ左手の急速な10度跳躍)にあります。鍵盤を打楽器のように扱い、ベース音とコードバッキングを左手一本で超高速かつ強靭に刻み続けるスタミナは、並み居るプロピアニストをも驚嘆させます。
クラシックの正統派ピアニストが音の粒立ちや繊細なダイナミクス、ホールの残響を綿密に計算するのに対し、彼の演奏は「アタックの強さ」「疾走するグルーヴ」「聴き手の感情を瞬時にトップギアへ叩き込むドライブ感」に特化しています。ネット黎明期のPCスピーカーやスマートフォンの小さな筐体であってもメロディが埋もれず、リスナーの鼓膜へダイレクトに突き刺さる音作りは、デジタルネイティブ世代の視聴環境を徹底的に意識した実践知の結晶です。
現在、ネットカルチャーを出自に持つピアニストは多数活躍していますが、それぞれのポジショニングや音楽的バックボーンには明確な差異が存在します。主要アーティストとの比較を通じて、客観的な位置づけを可視化します。
ショパン国際ピアノコンクールセミファイナリストの角野隼斗(かてぃん)氏がアカデミックな理論とジャズの高度な融合を極め、よみぃ氏やハラミちゃんがストリートピアノのエンタメ性を拡張したとすれば、まらしぃはそのすべての源流に位置しながら「自室のグランドピアノとネットの向こうのリスナー」という親密な関係性を18年以上崩していません。