政田夢乃を語る上で欠かせないのが、決して平坦ではなかったプロ入りまでの軌跡です。メディアではその愛らしいルックスから「アイドル系ゴルファー」と形容されることもありますが、トーナメント現場のベテラン記者やプロコーチ陣の評価はまったく異なります。「ツアー屈指の不屈の根性を持つ選手」というのが現場の一致した見解です。
小学1年生の時に観戦した女子ツアーの試合をきっかけにプロを志した彼女は、北海学園札幌高等学校時代に北海道ジュニアゴルフ選手権で優勝するなど、早くから頭角を現していました。しかし、高校卒業後に待ち受けていたのはJLPGAプロテストの厚い壁でした。2019年から受験を続け、わずか1打差で涙を呑むなど不合格を重ねること4回。合格率わずか3%台とも言われる狭き門の前に、一時は「もう諦めた方がいいのではないか」と自問自答する日々が続いたといいます。
転機となったのは、プロテスト合格を目指す女子ゴルファーを支援するプロジェクト「DSPE」への参加や、ミニツアーでの実戦経験でした。勝負どころのメンタル強化に徹底して取り組み、迎えた2023年度のプロテスト(JLPGA 96期生)でついに合格通知を手にしました。最終日のホールアウト後に見せた大粒の涙は、単なるビジュアルアイコンではなく、泥水をすするような努力を重ねてきた一人のアスリートの真実を雄弁に物語っていました。