J.K.ローリングが描く魔法界の食文化は、現実のイギリス伝統料理に深く根ざしています。作中でシェパーズパイが明確に登場するのは、原作第2巻『ハリー・ポッターと秘密の部屋』や第5巻『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』の大広間での食事シーンです。厳しい寒さの中で受ける魔法薬学や薬草学の授業の後、冷え切ったハリーやロン、ハーマイオニーが暖炉の燃える大広間で熱々のパイを頬張る様子は、読者の食欲を強く刺激しました。
ホグワーツ大広間料理の一覧を見渡すと、ヨークシャー・プディングを添えたローストビーフ、ステーキ・アンド・キドニー・パイ、ソーセージにマッシュポテトを合わせたバンガーズ・アンド・マッシュなど、英国のパブや寄宿学校でおなじみの質実剛健なメニューが並びます。その中でもシェパーズパイは、気取らない日常のごちそうとして描かれており、親友同士で肩を並べて大皿を取り分ける温かな学生生活の象徴となっています。