アメリカにおける黒人ギャングの歴史は、1960年代後半のロサンゼルス(LA)南部サウス・セントラル地区に端を発します。当時、公民権運動を主導した「ブラックパンサー党」などの急進的な社会運動組織が当局の徹底的な弾圧によって解体され、地域コミュニティには巨大な力の空白が生まれました。さらに製造業の衰退による失業率の高騰と、公的支援の打ち切りが若者たちを極限の困窮へと追い込みます。
こうした荒廃したストリートで1969年、当時15歳だったレイモンド・ワシントンが中心となり、仲間を守るための自衛グループ「ベイビー・アベニューズ」を結成。これがのちに全米最凶のストリートギャングと呼ばれる「クリップス(Crips)」へと発展します。結成当初は「黒人の権利を守り、街の不良から身を守る」という名目を掲げていましたが、次第に近隣の学校やグループを暴力で傘下に収める略奪集団へと変貌していきました。