星野源のキャリアを語る上で避けて通れないのが、過去に見舞われた深刻な病気療養の経緯です。当時の詳細な経過を振り返ることで、彼が背負ってきた過酷な試練と、そこからの生還劇の重みが浮き彫りになります。
最初の異変が起きたのは2012年12月中旬でした。シングル楽曲のレコーディング直後、突如として激しい頭痛と眩暈に襲われ、緊急搬送された病院で下された診断は「くも膜下出血」という非情なものでした。即座にカテーテル手術が行われ、所属事務所のアミューズより当面の活動休止が公式発表されます。早期発見と迅速な処置により、過酷なリハビリを経て2013年2月末に奇跡的な復帰を果たしました。
しかし、試練はそこで終わりませんでした。復帰からわずか数ヶ月後の2013年6月、定期検査において手術箇所の経過観察が必要と判断され、再度の活動休止を余儀なくされます。2度目の手術は頭蓋骨を開ける開頭手術という極めて難度の高い大手術であり、医師からは「後遺症が残る可能性や、以前のように歌える保証はない」という過酷な現実を突きつけられました。
著書『蘇える変態』や当時の特番インタビューにおいて、本人は次のように述懐しています。
「暗闇の中で襲ってくる想像を絶する頭痛と吐き気、もう二度と音楽が作れないのではないかという恐怖。あの病室で過ごした日々の絶望感は、言葉で表現できる限界を超えていました」
死の恐怖と表現者としてのアイデンティティ喪失という二重の苦しみに耐え抜き、2014年2月6日の日本武道館単独公演「STRANGER IN BUDOKAN」にて、超満員のファンの前に完全復活。ステージ中央で発した「ただいま!」の第一声は、日本の音楽史に残る感動的な瞬間として今も語り継がれています。