小林さんが農業ビジネスへ本格参入するきっかけとなったのは、父親の体調不良でした。家族が体調を崩した際、食生活や自然環境の大切さを痛感した彼女は、知人の紹介で新潟県の農作業を手伝うようになります。
そこで直面したのが、過疎化や後継者不足、農業従事者の高齢化といった日本の第一次産業が抱える深刻なリアルでした。「自分にできるアプローチはないか」と模索した末、2020年に設立したのが「株式会社AGRIKO」です。
同社が採用しているのは、水産養殖と水耕栽培を掛け合わせた「アクアポニックス」という循環型有機農業システムです。魚の排泄物を微生物が分解して植物の栄養となり、浄化された水が再び水槽へ戻る仕組みで、都会のビルの屋上など限られたスペースでも環境負荷を抑えて野菜を育てることができます。さらに、農福連携として障がい者雇用や高齢者の就労支援を積極的に組み込み、環境保全と社会課題解決を両立させる先進的なビジネスモデルとして各界から称賛を浴びています。