美瑛川の川底まで透き通るようなコバルトブルーの水面を目にした旅行者の多くは、「人工的な着色ではないのか」「温泉成分による単なる濁りではないのか」と驚きの声を上げます。しかし、この神秘的な色彩には、十勝岳連峰の火山活動がもたらした明確な地質学的・物理学的根拠が存在します。
北海道立総合研究機構や現地の地質調査データによると、白鬚の滝の主たる水源は十勝岳連峰の地下水です。この地下水には、火山地帯特有のアルミニウムなどの鉱物成分が豊富に含まれています。断崖絶壁の岩肌から湧き出た地下水が美瑛川本流の河川水と激しく衝突・攪拌される際、目に見えないほど微細なコロイド状粒子(水酸化アルミニウム等)が生成されます。
この微粒子に太陽光が照射されると、波長の短い「青い光」だけが強く四方八方に散乱される「チンダル現象」が発生します。さらに、白金温泉街から流れ込む硫黄・石膏成分を含んだ白濁水が川底の岩石を白く脱色し、反射板のような役割を果たすことで、人間の目には濁りのない鮮烈な「コバルトブルー」や「エメラルドグリーン」として知覚されるのです。
また、一般的な滝のように上流の河川がそのまま落下するのではなく、溶岩層と火山灰層の境目から幾筋もの地下水が髭(ひげ)のように吹き出す「潜流瀑」である点も、水の透明度を極限まで保ち、青色の彩度を際立たせる大きな要因となっています。