犬と猫の間、そして犬種同士の間でここまで数字が変わるのはなぜでしょうか。背景には、人間が作り出した環境と遺伝子の働きが深く関わっています。
まず猫において最も大きな分岐点となるのが飼育環境です。猫の平均寿命室内飼いのケースでは16.2歳前後まで伸びるのに対し、外に自由に出入りできる猫の平均寿命は約13歳前後まで急落します。交通事故や感染症(猫エイズ・白血病など)、縄張り争いによる外傷リスクを排除できるかどうかが、猫の命の長さをダイレクトに左右している裏付けです。
一方、犬において最大の焦点となるのが犬の寿命大型犬小型犬の差です。一般的な生物界では「体が大きい動物ほど代謝が低く長命(ゾウとネズミの比較など)」という法則が働きますが、同一種である犬に限っては真逆の現象が起きます。小型犬(トイ・プードルやチワワなど)の平均寿命が15歳前後であるのに対し、超大型犬(グレート・ピレニーズやバーニーズ・マウンテン・ドッグなど)は8〜10歳前後にとどまります。
この寿命に差が出る決定的な理由として、大型犬は成長スピードが急激すぎるため細胞分裂の回数が多く、活性酸素による酸化ストレスを受けやすい点や、心臓をはじめとする内臓にかかる負荷が極めて大きい点が近年のゲノム研究で明らかになりました。人間の品種改良の歴史が、皮肉にも体格ごとの寿命差を生み出した側面を持っています。