ハイブランドの旗艦店が立ち並ぶ表参道の大通りから、ほんの数分歩くだけで街の表情は劇的に変わる。キャットストリートの裏手、かつて穏田村と呼ばれた神宮前(渋谷区)の一角には、穏やかな時間が流れる隠田商店街が息づいている。コンクリートジャングルの中にぽっかりと現れる木造の温もり。そこにあるのが「穏田 一甫」だ。
店内に足を踏み入れると、磨き上げられたカウンターが客人を迎え入れる。店主の手元が見える絶妙な距離感、計算し尽くされた間接照明、耳に心地よい包丁の音。プライベートな会食から特別な記念日、あるいは一人でじっくりと盃を傾けたい夜まで、あらゆるシーンを受け止める懐の深さがある。ここには、見せかけの華美さではなく、本物の品格だけが漂っている。