長野駅から善光寺へと続く表参道を抜け、本堂の東隣に広がる城山公園へ足を踏み入れると、周囲の自然や地形と見事に調和した低層の建築群が視界に飛び込んできます。長野県立美術館の建築見どころを語る上で欠かせないのが、建築家・宮崎浩(プランツアソシエイツ)氏による設計思想です。「ランドスケープ・ミュージアム」をコンセプトに掲げ、建物そのものが主張しすぎることなく、善光寺の借景や周囲の丘陵地と連続するランドスケープを創り出しています。
多くの来館者が驚くのは、有料の展示室に入らずとも体験できる空間の豊かさです。敷地内を南北に貫く「水辺のテラス」や開放的なガラス張りのパブリックスペースは、地域住民の日常的な散歩道としても機能しています。文化施設が往々にして陥りがちな「敷居の高さ」を徹底的に排除し、善光寺参拝の延長線上で誰もがふらりと立ち寄れる開かれたサードプレイスとしての役割を確立したことこそ、本館が話題沸騰となっている根本的な要因といえます。