敷地内に足を踏み入れた瞬間、誰もが視線を奪われるのが、赤レンガに白い花崗岩のボーダーラインが鮮やかな京都文化博物館 別館(旧日本銀行京都支店)です。日本近代建築の父と称される辰野金吾とその弟子・長野宇平治の設計により、1906(明治39)年に竣工したこの建物は、1969年に国の重要文化財に指定されました。明治期を代表する名建築であり、重厚な外観だけでなく、吹き抜けが開放的な営業場ホールや精巧な木製カウンター、装飾金具の細部に至るまで、当時の華麗な意匠が息づいています。
特筆すべきは、この建築 重要文化財である別館のホールエリアが、原則として「無料」で一般公開されている点です。かつての金庫室を活用した落ち着いたカフェやギャラリースペースが併設されており、建築愛好家にとっては立ち入るだけでも息をのむ美しさを誇ります。
一方、本館2階・3階に広がる総合展示(常設展)では、平安建都から近代に至る京都の歴史の流れを体系的にたどることができます。絵巻や工芸品、古文書などの貴重な文化財はもちろん、平安京の復元模型や祇園祭の山鉾をめぐる詳細な展示解説は必見です。常設展の見どころとして、単なる資料陳列にとどまらず、職人の技術や庶民の暮らしぶりにスポットを当てたジオラマや映像解説が充実しており、歴史に詳しくない来館者でも知的な興奮を味わえる工夫が凝らされています。