スマッシュの一般定番モデル(ブラック)は、口金と前軸が一体化したマット塗装の金属製グリップ、四角いラバーリブが指先に吸い付く独特のホールド感、蛇腹ノブといった機能美で高い評価を得てきました。実質本位の質実剛健なペンが、ファッショナブルな限定色を纏った瞬間、筆記具を超えた「自己表現のシンボル」へと変貌を遂げます。
売り切れが常態化する最大の引き金となったのは、2015年〜2016年にかけて巻き起こった文具系YouTuberによるレビューブームでした。当時、一部の店舗企画として少量生産されたロフト限定カラーが動画内で絶賛されるや否や、全国の学生層が一斉に文具店へ殺到。それまで「壊れない実用ペン」を求めていた層に加え、「人とは違う特別な1本を持ちたい」という若年層の所有欲を強烈に刺激しました。
行動経済学における「スノッブ効果(他者が持っていない希少なものを欲する心理)」と「バンドワゴン効果(流行しているものに同調したい心理)」が同時に作用した結果、限定色が発売されるたびに需要が供給能力を桁違いに上回るスパイラルが完成したのです。生産ラインが製図用基準の厳格な品質管理下にあるため、急激な増産が物理的に困難である点も、品薄に拍車をかける要因となっています。