一般的なアパレル直営店や「ユニクロ」「ZARA」に代表されるSPA(製造小売業)とセレクトショップの決定的な違いは、店舗に並ぶ商品の出どころと編集思想にあります。単一ブランドの直営店が「自社で企画・製造したプロダクトのみ」を並べるのに対し、セレクトショップの仕組みは自店舗のコンセプトに見合う商品を世界中の多種多様なブランドから仕入れ、ひとつの空間に編集して陳列する点に本質があります。
つまり、セレクトショップとブランドの違いを端的に言えば、「自ら服を生み出す製作者」か「世の中の優れた服を目利きして届ける編集者(キュレーター)」かという役割の差です。店内には名もなき海外ファクトリーのニット、新進気鋭のデザイナーズブランドのトラウザーズ、歴史ある老舗シューメーカーの革靴が同一のラックに並びます。顧客は複数の店舗を巡ることなく、その店のフィルターを通した洗練されたトータルコーディネートをワンストップで手に入れられます。
かつて1970年代から80年代にかけて台頭したこのビジネスモデルは、単に「モノを売る場」ではなく、「海外の新しいライフスタイルやユースカルチャーを輸入して提案する情報発信基地」として若者カルチャーを牽引してきました。時代が移り変わり、誰もがスマートフォンひとつで世界中の服を直接買える時代を迎えてもなお、卓越した審美眼によって選び抜かれた空間には、独自の付加価値が宿り続けています。