松野町は愛媛県内で最も人口が少ない町(約3,700人規模)として知られています。にもかかわらず、週末になると「道の駅虹の森公園まつの」の駐車場には松山ナンバーや高知ナンバーのみならず、関西や九州からの車両がずらりと並びます。過疎地域と評される山間部にこれほどの集客力が維持されている背景には、観光社会学の観点からも極めて合理的な3つの強みが存在します。
第1の強みは、「清流・四万十川のマイクロコスモス(縮図)」としての体験価値です。展示水族館である「おさかな館」は、巨大テーマパーク型の水族館とは一線を画し、川の源流から河口、さらには世界の熱帯雨林に至る水辺の生態系を凝縮して再現しています。生き物との距離が極めて近く、見る者の五感を直接刺激する展示設計が施されています。
第2の強みは、素材の輪郭が際立つ「ローカル・ガストロノミー」の確立です。松野町が誇る昼夜の寒暖差を活かした桃太郎トマトなどの特産野菜、そして四国カルスト山麓の清らかな自然に育まれたジビエ料理など、ここでしか味わえない食の魅力がドライブ客の胃袋を掴んで離しません。
第3の強みは、「見る・食べる」に「創る」を加えた滞在型プログラムです。敷地内のガラス工房「風蔵」では、高温の窯を前に職人の手ほどきを受けながらオリジナル作品を制作できます。立ち寄って15分で通過する旧来型の道の駅とは異なり、家族やカップルが3時間から半日以上を快適に過ごせる滞在設計が、高いリピート率と満足度を生み出す決定的な要因となっています。